Ph.D.に求められるものとは何か
今日は@yasutomo57jpさんのD論公聴会を聞きに行った。お疲れ様でした。ustもやっていて、結構見ていた人がいたようだ。
内容は固定カメラにおける背景画像推定で、背景画像推定における様々な問題について個別に色々なモデルを立てて解くような話だったのだが、質疑で松山先生が「このD論でどういう理論体系を主張しているの?」といったような質問をされていた。
情報学研究科 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー(学位授与基準含む)) — 京都大学にも書かれているのだが、博士の要件としては
- 情報学及びその関連分野における新たな成果とそれを包括する体系を含む、情報学及びその関連分野における高度な学術を含み、当該の研究分野の今後の発展に大きく寄与する内容を含む
- 情報学及びその関連分野において請求者が自立して研究活動等を行い得ると認められる学術的内容を含む
のいずれかが必要となるようだ。ちなみに修士において新規性が必須ではない*1というのも初めて知った。
うちのボスもいつも「研究のストーリーをよく考えなさい」ということをよく仰っているが、博士の研究は単に問題を解いたというだけではだめで、この問題の背景にはこういった理論が流れており、それに従ってモデルを立てるとこういったモデルになり、その結果このようなモデルが解けます、というストーリーになっている必要があるのだ。つまり、問題が解ければそれで良いのではなく、問題の背後にあるものを抽象化・一般化して、明確な学理を持たなければならないのだろう。
もちろん今ある問題に対して実用的なモデルを適用して、精度が何%上がりましたというのも立派な研究ではあるのだが、Ph.D.を名乗るということはそれだけではだめで、学理を立てて、それを実証できるということが必要なのだと思う。
今日の公聴会は非常に勉強になった。自分の研究についても、今一度どういった学理に添ってやるかということを考え直してみようと思う。