外部大学院入学について

震災からこっち日記が書きにくくなっていたのですが、いつまでも書かないわけにもいかないので書きます。被災された方にはお見舞いを申し上げると共に、一日も早い復興を願っております(僕も当日は被災したけど)
今のところ関西の影響は水が買えないとか、電車の部品がまわらなくて間引き運転とかそれくらいですが、長引くと影響も大きくなるんだろうな。

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さて、この度私無事修了し、修士号(情報学)を頂けました。で、修了にあたって、学部から修士へ進学する際に研究室(もっと言うと専攻や大学)を移って思ったことをつらつらと書こうと思うわけです。

外部大学院とは

B4(M2)時の大学とは違う大学で修士課程(博士課程)に進学すること。僕の場合はB4から博士進学の可能性を考えていたので、ボスの定年までの時間が足りなかった(B4開始時で残り4年)というのが一番のきっかけでした。他にも、

  • より良い研究環境を求めたい
  • 異なる研究テーマを研究したい
  • 研究室のカラーが合わない

等々理由は色々あると思います。

進学先を決める

まず、学部とは別の研究室に進学する場合、どの研究室に進学するかを決めなければいけません。その判断材料として、以下のものがあります(利用しました)。

今やっている分野・移りたい分野の学会誌等

やりたい研究テーマが漠然とでもある場合、その分野でどういった人が活躍しているのか、どういう研究室の選択肢があるのかを探す材料としてはうってつけです。詳しい内容がわからないのは構わないので、どんどん人を探していくとよいです。また、学会の年次大会などは東京で開かれていることが多いので、顔を出して興味がありそうなものをB3のうちから聞くとよいと思います。僕の場合は

などから人を探しました。

オープンキャンパス・オープンラボ

年次大会などで興味のあるラボの先生なんかを見つけたら、積極的にコンタクトを取りましょう。最近はどこもオープンラボをやっているし、オープンラボの時期でなくても個人的にコンタクトを取れば研究室見学はさせてくれる場合が大半です。見学なんかをしなくても受験はできますが、後でラボに合わなかった・先生と合わなかったとかそういうことが起こらないよう、見学はしておくのが懸命です。
僕は対話・NLP・SLPに興味があったので、

  • 京大: 奥乃研
  • 京大: 黒橋研
  • 京大: 河原研
  • NAIST: 松本研
  • NAIST: 鹿野研

あたりを候補として考えました。結局NAISTオープンキャンパスに行きませんでしたが、今思うと行っておいてもよかったのかな、と思います。で、京大のオープンキャンパスに行った結果、河原研を第一希望として受験することを決めました。オープンラボに行ったときに、河原先生と森先生と結構長く(1時間くらい?)話せたのが大きかったと思います。

ラボを決めるにあたって重要な点

これは人によって研究環境だったり研究室の雰囲気だったりするでしょうが、僕の場合最も重視したのは、教員による指導体制です。基本的に人を伝って、その人の研究テーマに興味がある教員を探していくわけですが、任期付きの先生なんかだと指導を受けている間に他に移られてしまったりとか。助教の先生でも結構転任はあるものなので、D進学まで考えるなら

  • できるだけ准教授以上の先生がいて
  • その先生が自分の興味分野に実績があるorプロジェクトを進行中

の研究室に行くのが良いと思います。
(メイントピックではないけど指導はできるよー、くらいだとあんまり指導して貰えない可能性もあるので避けた方が良いのかも)
あと、その時点でB4がいる研究室はそのB4と戦わなければならないので、それについても十分考慮する。

ラボを決めるときにやってはいけないこと
  • 学校(学歴)本位で決める

これをすると自分自身も受け入れ先の教員も幸せになれない…
やはり有名な大学の方がプロジェクトの採択数は多かったりするので、結果的に良い大学へのロンダリングになる可能性は高いですが、大学入試のように「◯◯大学に行きたい!」という意図で大学を変わるのはよくないです(僕にそういう気持ちが全くなかったかと言われると、そんなことはなかったかもしれませんが…)
参考: http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100930/216447/

受験の準備

進学先が決まれば受験の準備なんですが、このあたりは経験でしか話せないので、京大情報知能を受ける場合ベースで進めます。

出願

基本的に大学のときと同じだが、遠方の大学院を受ける場合、締め切りの期限、消印・必着などをよく確認しておく。願書は取り寄せをお願いしたら送ってもらえる。

TOEFL(TOEIC)

当たり前だが、手続き当日までにスコアが手元にないといけないので要注意。TOEICは申込から結果通知まで2ヶ月以上、TOEFLでも1ヶ月はかかる(僕は気付いたときはTOEIC間に合わなくてTOEFL受けた)。

受験勉強

だいたいどこの大学院も過去問を公開している(親切なところはWeb・そうでなくても学校に行けばコピーをくれる)ので、それを解きながら対策をする。その大学院の下の学部の授業に準ずる感じの問題が多いので、対応しそうな本は惜しみなく購入する。図書館にも結構ある。
基本的に答えはない(公開してない)ので、地道に1つずつ埋めていくしかない。ただ、傾向を見れば何を勉強しておけばいいのかはわかる、はず。うちの場合専門は25問中4問を解けばいいので、そのうち6--8科目くらいを対策した。

受験本番

全て点数で決まるので、頑張って解きましょう。大学入試と同じで、解けない問題に固執しないことも大事。
(先生とのコネがないと入れないとか、内部生に下駄をはかせてるとかそんな噂を立てている人もいますが、大学院入試(特に国公立)は厳正に点数の序列だけで決まっているので、誰でもチャンスはあります)

京大情報知能の場合、試験の次の日に

  • 分野基礎
  • 専門
  • 英語(TOEICTOEFL提出)

の点数をまず評価され、(/面接あり|面接なし/)に分けられます。面接なしの場合、合否は合格発表までわかりません(つまり筆記試験が一次選考なのではなく、合否当落線上が面接に呼ばれる)。面接ありになった場合、その日にすぐ面接があるので、面接資料はあらかじめ用意しておく必要があります。僕は修士のときは面接はなかったのでわからないのですが、博士の面接は、専攻の教授全員が並ぶ前でプレゼン+質疑、でした。

合格が決まったら

まず、

  • 自分のボスに連絡をする(現・新両方)
  • お世話になった方々に報告をする

できれば、

  • 浮かれず入学に向けて勉強をはじめる

をしましょう。特にD進学を視野に入れる場合M2の春くらいに学振(参考: 特別研究員|日本学術振興会)というものを書くことになるのですが、そこまでに研究業績があるとなにかと幸せになれます。M1から研究室(研究テーマ)を変えると、発表や国際会議への投稿をできるタイミングが、どう頑張ってもストレート組より半年は遅れます。卒論で国内全国大会で発表できる+英訳して国際会議にも投稿できるくらいのクオリティを作っていると、M1のときの国内全国大会や国際会議投稿のときに楽になります。

また、分野を移る人は、その分野の勉強を始めるのは早ければ早い方が良いです。僕は言語処理系から音声の研究室に移ってきたのですが、B4の間音声の勉強をほぼやらなかったので、苦労しました。卒論と並行で辛いかもしれませんが、頑張ると後が幸せです。

大学院で研究室を移って

メリット
  • 自分のやりたいことができるようになる。特に大学入学・研究室配属のタイミングから専門的なことをやるに従って興味の対象がずれていくのは自然に一定割合で起こるので、そこを一気に修正できるタイミングではある。
  • 単純に同期が倍になることになるので、交友関係は増える。
  • 上の学校を受けると、就活が楽になったりもする。
デメリット
  • 分野が変わることになるので、どうしても研究は遅れる。他の人がB4+M1でやっていることを、M1のうちにやりきる覚悟が必要。
  • 上の学校を受けると、ロンダと言われて傷つくこともある。
  • 良くも悪くも学校によって文化は違うので、馴染めない部分もあるかも。

まとめ

修士より上にいくとあちこちの研究室を転々とするのは割と普通のことなので、そんなに特別に考える必要はないのかもしれない。ただ、分野が同じならともかく、分野の異なる研究室への転向は結構苦労するかも。あと、自分の専攻を大きく変えられる節目の1つかもしれない。
僕は学部時代にコンピュータサイエンスを専攻していたわけではなかったので、ある意味「理転(文転の逆)」と言える状況でしんどかったけど、ここに来てよかったし修士も取れることになってよかったね、というのが総括。